賛美歌を歌わない礼拝に出席されたことはありますか。
モニターでチェックされている礼拝というのは、いかがでしょうか。
花小金井教会は、今までの会堂を壊し始めてから、新しい会堂を建てている間の礼拝を行うため、5か所の会場を転々としました。
歌うことが禁止されている会議室、20人くらいしか入れない練習室、モニターカメラで見守られているレセプションルーム、ピアノが使えるリハーサルルーム、そして教会員の自宅です。祈祷会は、和室を使って行われました。
このような状態でしたから、次回の礼拝はどの会場なのかを確認することが欠かせませんでした。そこで、希望者にメールを配信することにしました。また、建築中の新会堂の様子も、このメールを使って皆さんに紹介することにしました。礼拝をする会場の壁やホワイトボードに聖書個所や賛美歌の歌詞を映し出して便宜を図りました。
また、礼拝をする場所として借りた部屋は、教会員宅以外、すべて利用時間が限られていたため、礼拝も信徒会などの会議も、決められた時間内に片付けまできちんと終わるようにしなければなりませんでした。
そして、歌えない会場では、賛美歌の歌詞をみんなで読むことにしました。
これらの体験は、戸惑いもありましたが、いろいろな形の礼拝があっていいのだということを知ることになりました。現在、賛美歌を読むということはしませんが、仮会堂での礼拝を通して礼拝の豊かさを知り、時間を守ること、聖書個所や賛美の歌詞を映し出すこと、メール配信などは今も継続され、教会の財産となっています。
それだけではありません。仮礼拝所として使った会議室の椅子が、とても座り心地よく、疲れにくい、いいものだったので、新会堂の椅子も一時間座っていても疲れにくいようなものにしようということになりました。試作品としてできてきた椅子には、椅子の素材、クッション性、背もたれの角度、主の晩餐式のグラスを置く場所など、たくさんの注文が付けられました。その結果、会堂における椅子の数は、当初の計画より減ることになりましたが、腰が痛くならず座り心地のいい、やや大きめですが、積み重ねられる椅子が出来上がりました。
最近、ホームページを通じて、椅子に関する問い合わせがあったり、椅子の製作所には花小金井教会と同じ椅子を作ってほしいという注文が大量に入ったりしているそうで、花小金井教会仕様の椅子は、製作所からも感謝されることになりました。
会堂建築中の礼拝がどうなるのか、教会員は不安に思っていましたが、仮会堂での礼拝は、豊かなものとなり、出席者が減ることもなく、むしろ、ときおり新来者を迎えることさえできました。かえってたくさんの恵みをいただくことになったわけです。
花小金井教会の会堂建築は、ずいぶん昔からの願いでしたが、今回、建築を始める決断に至ったのは、耐震強度が足りないという現実に後押しされての、やむにやまれぬものでした。いざ建築しようということで知恵を出し合ったところ、教会員が新会堂に必要だと考えたものをすべて取り入れると、数億円かかることがわかりました。そんなお金はありません。
また、会堂建築の話し合いの途中では、牧師の住居を併設するかどうか、教会員の意見が真二つに割れることもありました。そのような時、私たちは結論を急がず、祈り、話し合いを丁寧に重ね、最終的には、会堂に牧師館を併設することを選択しました。会堂は鉄筋を木造に変え、分級室も大幅に減らし、あれを削り、これを削りという話し合いが続きました。トイレについてもレイアウトは最後まで修正、修正の連続でした。
最終的な費用は一億円まで下げることが出来ました。それでも、それまで蓄えてきたものでは足らず、連盟から3100万円、教会員から約2800万円を借りて、ようやく調達することができました。
会堂建築で大切にしてきたのが、子どもから年配者まで、また、障害のある人も一緒に礼拝が守れる会堂、また近隣の方にも入りやすい明るい会堂、豊かな賛美ができる会堂でした。光あふれる会堂は、設計者が提案してくれました。オルガンについては、会堂全体の音響効果も含めて考える特別委員会が設けられました。設計者との協議は何度も何度も行われ、修正につぐ修正を重ね、様々な手直しを行い、ようやく2011年11月18日、新しい会堂での最初の礼拝を行うことが出来ました。
地震に耐えられない会堂だということで建築に踏み切った花小金井教会でしたが、2011年の3月11日、あの東日本大震災があった時、花小金井教会は解体工事か終わっており、全く地震の影響を受けない更地の状態になっていました。花小金井教会は、新会堂建築の途中で起きた、この東日本大震災のことを重く受け止め、福島県郡山コスモス通り教会とのつながりの中で、教会の祈りとして礼拝の中でも祈り続け、支援を考え続けています。
この会堂建築を通して神様が示してくださった豊かな恵み、人とのつながり、知恵、それは、多岐にわたっており、会堂のない期間、様々な会場で密かに、しかし大胆に礼拝を行ってきた私たちは、今、窓がたくさんあって光あふれる会堂で礼拝できる喜びをかみしめています。
トイレはどうなったか、会堂のスピーカーは何台あるのか、床暖房の使い心地はどうか、台所の大型オーブンは、事務室のレイアウトは、集会室の多目的利用はどうなっているのかなど、話し出すときりがないくらい、それぞれの場所に教会員のみんなの思いが形となっていきました。開放的で明るい会堂は、近隣の方々や新しい方々と共に豊かな礼拝を行うことが出来ます。私たちは、礼拝について多くのことを考えることになりました。
不安だらけでスタートした会堂建築でしたが、仮会堂での経験は、新たな視点から礼拝を考えるきっかけを作ってくれ、新会堂は私たちの思いを超えて素晴らしいものとなりました。建築を通して主からいただいた恵みは、とても豊かなものです。私たちは、主からの恵みに感謝しつつ、より多くの方々と共に礼拝する場所としてこの会堂を用いていきたいと思っています。
主のなさることは、時にかなって美しいということを改めて思わされました。
主の豊かな恵みに感謝します。